こんにちは、高木です。
今回はちょっと辛口の話をします。こういうことを書くと嫌われそうですが、嫌われることをわざわざやるのが私の性分です。
開発現場などでオンボロの機材や備品をあてがわれる話をよく聞きます。頻繁にフリーズしたかのように遅くなるPC、小さく解像度が低いディスプレイ、老朽化した机や椅子などです。
「もっと快適な環境で仕事をしたい」と思う気持ちも理解できないわけではありません。最新のハイスペックな機材や高級な机や椅子を使ったほうが快適なことは間違いありませんから。環境が快適であれば、その分気持ちよく仕事ができるというものです。
中にはチープな開発環境を使うことがやむを得ない場合もあります。たとえば、ローエンドのマイコンの開発なんかがそうで、ターゲットとなるマシンのCPUはクロックが10MHz前後でRAMも数kバイトしかないことがざらにあります。現在開発しているターゲットマシンはそこまでチープではありませんが、それでもCPUがAtomでメモリは2Gバイトしかありません。
しかし、製品でそういうマシンを使うのだから文句をいっても仕方がありません。ローエンドのマイコンでは開発ツールもチープなことが少なくありません。それしかなければ仕方がありませんが、チープなターゲットにあわせてホストPCまでチープだとイライラしますね。
どの程度の機材や備品であればオンボロで、どの程度であれば快適と感じるかは個人差があるようです。私個人としては、あまりハイスペックな機材や備品は必要としていません。
そういえば、ちょっと前までBay Trail-M, 2GB RAM, 32GB eMMCというPCをメインの開発環境に使っていました。これにUbuntuをインストールして開発していたのですが、コンパイル時間やそんなに速くないものの、ストレスを感じるようなことはほとんどありませんでした。
要するに、そのときやろうとしていることに対して、劣悪でなければ何でもいいんです。何でもかんでもハイスペックなものをそろえようとするのは無駄遣いでしかありません。
よく聞く話として、もっとよい機材を使えば生産性が何%アップするといったものがあります。たとえば、実際に生産性が20%アップするとしましょう。そこで尋ねるのですが、生産性は20%アップするとして、それによって利益は何%上がるのでしょうか?
実際問題として生産性(というより快適さ)なんか実はどうでもよくて、投資に見合う利益が上るかどうかなんですよね。生産性が20%上がった分、通常は1日8時間労働していたところを6時間40分の短時間勤務(もちろんその分給料も下がります)に転換できるなら価値がありますが、普通は無理だと思います。
世の中には分不相応にハイスペックな機材や備品を希望する人もいるようですが、理想の環境を手に入れたならそれに見合う利益をもたらす覚悟が必要になります。それができないようなロースペックな人物であれば、今度はその人物こそが交換の対象になってしまいます。