こんにちは高木です。
今回は少し趣向を変えて物理の話をしようと思います。物理といってもそんなに難しいことはやりません。高校1年生レベルの内容だと思います。もしかしたら私が高校生だった40年近く前と現在では大きくカリキュラムが変わっているかもしれませんが、あまり気にせずに進めることにします。
ここで扱うのは線形運動(直線運動)に限定することにします。そして、本来であれば積分を使って変位を求めるべきなのですが、今回はそんな難しいことはしません。あくまでも高校1年生で習う範囲の等速直線運動と等加速度直線運動だけに絞りたいと思います。
等速直線運動
等速直線運動は速度が変化しない線形運動で、変位(距離の変化)を求める式は次のようになりますね。
$$d = vt$$
ここで\(d\)は変位、\(v\)は速度、\(t\)は経過時間です。ここで求めているのはあくまでも変位(変化した量)なので、変化後の位置を求めるのであれば、初期位置を足してあげる必要があります。初期位置を\(s_0\)、変化後の位置を\(s\)とすると、式は次のようになります。
$$s = vt + s_0$$
等加速度直線運動
等加速度直線運動は加速度が一定の線形運動です。時間が\(t\)だけ進んだときの速度\(v\)は次のようになります。
$$v = at$$
ここで\(a\)は加速度です。加速度の単位は普通\(m/s^2\)を使うんでしたね。
次は等加速度直線運動の変位を求める式です。
$$d = \frac{1}{2}at^2$$
初速がある場合は、初速度を\(v_0\)とすると次のようになります。
$$d = \frac{1}{2}at^2 + v_0t$$
時間\(t\)が経過後の位置を求めたいのであれば、等速直線運動のときと同じように次のようにしてあげればOKです。
$$s = \frac{1}{2}at^2 + v_0t + s_0$$
ちなみにこのあたりまでは、高校1年生のレベルですし、高卒認定の出題範囲でもあるので、高校を卒業された方であれば文系、理系関係なく分かる(少なくとも思い出せる)のではないでしょうか?
実務での応用
先ほどまでは高校で習った内容のおさらいでした。中には物理が嫌い、あるいは不得意な方もいらっしゃると思います。場合によっては「そんなものは実社会では役に立たない」とおっしゃるかもしれませんね。ただ、少なくとも私の場合は、高校で習ったこれらのことを実務でよく使っています。
私は演出照明の仕事をしています。演出照明なので、照明の光をだんだん明るくする、あるいはだんだん暗くするといったことはもっとも基本的な制御です。光の明るさは距離ではありませんが、数値化できますので、距離の変化と同じ計算式を使うことができます。つまり、一定の速度で明るくなったり暗くなったりするのであれば、それは等速直線運動と同じなんです。
実際に距離の計算をすることもあります。たとえば、会場の特定の場所(普通は床、または床から少し上)に照明を当てたい場合があります。照明を当てる場所を移動させる場合には、線形運動の計算式が基本になります(実際には2次元、または3次元になるのでもっと複雑です)。そして、照明を当てる位置(座標)から照明器具を回転させる角度を逆算して制御します。逆算するには三平方の定理や三角関数(サイン、コサイン、タンジェントのあれです)を駆使する必要がありますが、これらも文系、理系関係なく中学や高校で習いますね。
こんな感じで、学校で習うことは実社会でも役に立ちます。もちろん、役に立てるような仕事を選ばないとダメですよ。言い換えると、学校での勉強をちゃんとやっておかないと、選べる仕事が激減してしまうことになります。
たまには中高生にお説教をしてみました。まあ、実際には嫌いなこと、苦手なことは無理をしなくてもほかの仕事はいくらでもあります。何もかも嫌いで苦手というのはダメですが、何かひとつでも得意分野があれば、それをうまく生かせばどうにかなるもんですよ。