メモリの動的割付け、あるいはオブジェクトの動的生成の方法は、C++(C++11以降)とC11では大きく異なります。
newおよびdelete演算子はない
C++では、オブジェクトの動的生成と解体に使っていたnew演算子とdelete演算子はC11にはありません。代わりに、malloc関数とfree関数を使います。また、必要に応じて、calloc関数やrealloc関数を使うこともできます。C11では、動的割付けはライブラリの機能であり、言語レベルの機能ではありません。
境界調整を指定したメモリ割付け
C11では境界調整を指定したメモリ割付けを行うための関数aligned_allocが提供されます。
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void *aligned_alloc(size_t alignment, size_t size); |
なお、C++でもC++17からaligned_alloc関数が導入されます。
可変長配列
C11では任意実装ですが(C99では必須です)、可変長配列(VLA)を使うことができます。通常、配列の要素数には定数式しか指定することができませんが、関数原型有効範囲またはブロック有効範囲では、配列の要素数に定数式以外を指定することができます。結果として、実行時に要素数が決まる配列を定義できるようになっています。
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int foo(int n) { int array[n]; ... } |
非標準関数として、allocaのような関数をサポートしている処理系は少なくありません。C11の可変長配列は、そうしたallocaと同様の使い方ができますが、よりシンプルな記法が使える分、優れているといえます。
また、関数原型有効範囲に可変長配列を指定する場合には、通常、次のように要素数と一緒に渡すことになります。
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int bar(int n, int a[n]) { ... } |
関数の(定義ではなく)宣言を行う場合には、次のように可変長配列の要素数を省略することもできます。
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int bar(int n, int a[*]); |
可変長配列であっても、sizeof演算子を使ってサイズを取得することができます。ただし、sizeofの式は実行時でなければ評価できないため、定数式になりません。